女性の薄毛、抜け方から原因を推測できる?

  

毛の抜け方に見る、薄毛の原因と特徴

薄毛の症状の大半がAGAである男性に対し、さまざまな頭皮のトラブルや疾患が原因である女性の薄毛。びまん性脱毛症、脂漏性脱毛症、円形脱毛症…そのトラブルや疾患自体、あるいはそれらの誘因となるものはさまざま。
毛の抜け方の事例から、その原因や頭皮トラブルの例をいくつか挙げてみましょう。

※抜け方には個人差があり、生活環境や体質により症状や原因はひとつではないため、気になる場合は医療機関での受診をおすすめします。

  

全体的に抜ける(びまん性脱毛症)

主な原因:

  • ホルモンの乱れ、血流やヘアサイクル(毛周期)の乱れ

主な症状:

  1. FAGA(女性男性型脱毛症)
  2. 血行不良
  3. 休止期脱毛症

1.FAGA(女性男性型脱毛症)とは

女性ホルモン「エストロゲン」が加齢によって減少し、ホルモンバランスが乱れることによって起こる脱毛症です。早い人では女性ホルモンが減少し始める30代半ばから抜け毛が増えます。頭頂部と前頭部(髪の生え際)から薄毛が始まるのが特徴の男性のAGAとは異なり、髪が細く弱っていき、かつ全体的に薄くなるのが特徴です。

  

2.血行不良とは

不規則な生活や加齢による新陳代謝の衰え、喫煙や運動不足などの生活習慣による頭皮の血行不良が原因の脱毛症です。
毛乳頭に十分な栄養が届かなくなることで発毛機能が低下します。

3.休止期脱毛症とは

ヘアサイクルで成長期にいた毛が急激に休止期に移行してしまう脱毛症で、分娩後に多く見られます。妊娠中、子宮を大きくするために分泌されるエストロゲンによって毛髪も成長しますが、分娩後は分泌量が急激に減り、毛髪が一気に休止期に移行してしまうために脱毛してしまう症状です。そのほか、過度なダイエットなどによる栄養不足、精神的なショック、貧血などが原因で起こるケースもあります。

  

頭頂部が薄い

主な原因:

  • 頭皮疾患

主な症状:

  1. 脂漏(しろう)性脱毛症

脂漏性脱毛症とは

頭皮の常在菌のバランス異常や不潔な環境など、何らかの理由によって過剰に分泌した皮脂で毛穴がふさがれて炎症を起こす症状で、脱毛症としては稀なケースといえます。治療しないで放置すると、激しいかゆみや痛みを伴う脂漏性皮膚炎にまで発展する危険性が。油分や刺激の多い飲食物は避け、規則正しい生活を送ることで皮脂の分泌を抑えることが大切です。

  

分け目や生え際が薄い

主な原因:

  • 外側からのダメージ

主な症状:

  1. 牽引性(けんいんせい)脱毛症

牽引性脱毛症とは

いつも同じ位置で髪を結んだりヘアアイロンをかけたりなど、長期間に渡って髪が引っ張られることにより頭皮に負担がかかって脱毛する症状。こめかみ部分やおでこの生え際などが薄くなる人が多いようです。ヘアスタイルを変えるなど、できるだけ髪を引っぱらないで過ごせるような対策を。

  

円を描いて抜ける

主な原因:

  • 免疫異常、甲状腺異常、自律神経障害、アレルギーなど

主な症状:

  1. 円形脱毛症

円形脱毛症とは

突発的な脱毛症としてよく知られています。原因には免疫や甲状腺の疾患、自律神経障害などが考えられますが、もっとも主流とされているのが免疫疾患です。体内に入ってきた病原菌やウイルスなどの異物を排除する働きを持つ免疫機能が、毛包を異物だと誤認識して攻撃することで毛が休止期に入ってしまいます。
小さくて軽度なものだと自然に治ることもありますが、脱毛の範囲が広い、長期に渡るなど、症状が進んでいる場合にはきちんとした治療が必要です

  

よく聞く「ストレス」は原因ではなく「誘因」

ところで、円形脱毛症をはじめ脱毛症には「ストレスが原因」とよく耳にしますよね。実際には、ストレスが招く免疫異常やホルモンバランスの乱れなどが脱毛症の原因であり、ストレスはそれらの誘因となるものです

こうして一覧にして見ると、女性の薄毛にはさまざまな原因やパターンが存在し、複雑であることがよくわかります。原因と抜け方の関係は必ずしもこの通りとは限らず個人差もあります。また、不規則な生活や食生活の乱れなど、脱毛症の原因となるものを排除すれば改善は見込めますが、なかには医療機関で根本治療が必要な疾患もあるので注意が必要です。

薄毛は病気が隠れていることも?病院で適切な治療を

事例でご紹介したように、女性の薄毛は隠れた病気が原因となっているケースもあります。
まずは医師によって正確な原因を診断してもらうことをおすすめします。

  

監修医師

聖心美容クリニック 鎌倉 達郎 統括院長

聖心美容クリニック
鎌倉 達郎 統括院長

プロフィールを見る
資格/所属
  • 日本美容外科学会(JSAS)理事長
  • 公立大学法人横浜市立大学医学部 臨床教授
  • 一般社団法人日本ルックスケア医学会 副理事長
  • 公益社団法人国際化粧療法協会 理事
  • 一般財団法人日本医療アートメイク財団 理事
  • 一般社団法人日本ケアネイル協会 特別顧問
  • エステティックメディカルアカデミー(AMA)顧問
  • 第104回日本美容外科学会(JSAS)会長
  • IMCAS World Scientific Committee 2017,board member
  • IMCAS ASIA 2015,2016 Scientific board member
  • IMCAS ASIA 2010 Faculty
  • AMWC JAPAN Advisory board member
  • 日本美容外科学会(JSAS)専門医
  • 日本美容外科学会(JSAS)正会員
  • 日本美容外科学会(JSAPS)会員
  • 日本形成外科学会会員
  • 日本再生医療学会 再生医療認定医
  • 日本外科学会会員
  • 日本美容外科医師会会員
  • 日本先進医療医師会会員
  • 日本外科学会認定医
  • 日本臨床医学発毛協会認定 発毛診療指導認定医
  • ミラドライ認定医
  • ジュビダームビスタ®ボリューマXC認定医
  • ジュビダームビスタ®ボリフトXC認定医
  • ジュビダームビスタ®ボルベラXC認定医
  • ジュビダームビスタ®ボラックスXC認定医
  • ジュビダームビスタ®ボライトXC認定医
  • ジュビダームビスタ®ウルトラXC/ウルトラプラスXC認定医
  • ボトックスビスタ認定医
経歴
1989年
宮崎医科大学医学部卒業 九州大学生体防御医学研究所附属病院 勤務
1990年
九州大学医学部附属病院 勤務
1991年
九州大学医学部附属病院(第2外科)にて診療をしながら、同病院の医療情報部にて、研究に従事
1993年
早良病院(現 福岡ハートネット病院)にて外科診療と研究の両立を継続
1995年
品川美容外科 勤務
2000年
優れた実績を評価され聖心美容外科に招聘 東京院副院長就任
2001年
福岡院院長就任
2003年
聖心美容外科東京院院長就任
2004年
聖心美容外科統括院長就任
2015年
第104回日本美容外科学会会長に就任
2017年
公立大学法人横浜市立大学医学部 臨床教授に就任
2022年
日本美容外科学会(JSAS)理事長に就任
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